ジャック天野の懐かしのメロディー

いまでも耳に残っている歌、カラオケで唄う歌

アメリカ人らしい友情を歌った「君のともだち」

 キャロル・キングと言えば、「君のともだち」("You've Got a Friend", 1972)がすぐ連想されるぐらい、彼女の代表作です。「君が困ってる時、悩んでる時にはすぐに私の名前を呼んで。すぐに駆けつけるから。」というような意味のシンプルな友情の歌です。キャロルのダイナミックな歌声によって、いつも励まされる、そのような曲です。キャロル・キングは若い頃から注目されていた歌手で、1960年代前半に流行歌手だったニール・セダカが「おお!キャロル」という恋の告白をした歌をキャロル・キングに捧げています。これに対して、キャロルも後に「おお!ニール」という返歌を書いています。そして、キャロル・キング最大のヒットが「君のともだち」で、セリーヌ・ディオンはじめ多くの有名シンガーたちがカバーしています。キャロル・キングはその後、「ハードロック・カフェ」もヒットしましたね。キャロル・キングのステージでベストなのは、"Welcome To My Living Room"というショーです。


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映画の主題歌にもなったジュディ・コリンズの「青春の光と影」

「雲は天使の髪みたい、アイスクリームのお城にも見える、それに羽根の渓谷がある。そういう風に雲を見ていたけどいまはちがう。雲は太陽を遮り、雨や雪を降らせて私の邪魔をする…」というような歌い出しで始まるのが「青春の光と影」("Both Sides, Now")です。カナダのシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルが1967年に作詞作曲したフォークソングで、同じ年にフォークロックシンガーのジュディ・コリンズがレコーディングをしました。"Both Sides, Now"とは「いまは物事の両面が見える」というような意味で、人生には両面があるということを歌ったフォークソングです。これを「青春の光と影」と訳されたのは1968年に「青春の光と影("Changes")という映画が作られ、この歌が主題歌として採用されたからです。ジョニ・ミッチェル自身は1969年に初めてこの曲をレコーディングしました。ほかにブラザーズ・フォーやカーペンターズがカバーしている名曲です。

 


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ペトゥラ・クラーク最大のヒット「恋のダウンタウン」

 お気に入りの海外女性ボーカリストのひとりがペトゥラ・クラークです。とくに、「恋のダウンタウン("Donwtown")はビルボードヒットチャートで1位にもなった大ヒットです。「疲れたらダウンタウンに行って、ボサノバでも聞こうよ。きっと幸せな気分になれるよ」というような歌詞です。ダウンタウンは日本語では「下町」と訳されることが多いようですが、むしろ繁華街というようなニュアンスです。逆がアップタウンで住宅街という意味ですね。1964年のリリースですが、1965年にはマリアンヌ・ファイスフルがカバーし、日本でも弘田三枝子がカバーしました。そして、映画でも効果的に使われています。ジョン・ル・カレ原作の「リトル・ドラマー・ガール」で、主演のダイアン・キートンが子供たちにこの歌を教え込んで、みんなで合唱するシーンがありました。


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すごくノリノリになれる「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」」


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荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」として、バブル時代と2000年代になってからの二度も流行した曲ですが、オリジナルはまさにバブル時代の肉食系女子の歌。「あなたを食っちゃうよ、そんで吐きだしちゃうよ!」というような歌詞で、さすがに4文字は出てきませんが、かなりお行儀の悪いのがオリジナルの"Eat You Up"で、歌手はAngie Goldです。荻野目ちゃんの歌はノリノリなんですが、歌詞はあくまでも日本人向けですね。2回目の登美丘高校ダンス部のJKたちの踊りが色を添えていました。さすがにカラオケでは歌わないのですが、好きな曲です。


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スキーター・デイヴィスの「この世の果てまで」

「この世の果てまで」(”The End of the World”)はカントリー・ポップの名曲です。”Why does the sun go on shining? Why does the sea rush to shore? Don’t they know it's the end of the world. Cause you don't love me any more."という失恋の歌ですね。1962年にヒットしたこの歌はブレンダ・リージュリー・ロンドンなどにも歌われていますが、私はオリジナルのスキーター・デイヴィスの歌がいちばん好きです。スキーターとは蚊=モスキートの愛称で、彼女はもともとデイヴィス・シスターズとしてポップスを歌っていたからです。その後、交通事故で相方を失ってしまったスキーターはカントリー・ウエスタン歌手としてソロで歌うようになり、カントリーとポップスをミックスした歌を次々にヒットさせます。その中で、この「世界の果てまで」は最大のヒット曲となり、ミリオンセラーとなりました。


Skeeter Davis ~ The End of The World (1962)

ちあきなおみ珠玉のカバー曲「黄昏のビギン」

日本の女性ボーカリストでもうひとり好きな歌手はちあきなおみです。「雨に濡れた慕情」でデビューし、「4つのお願い」、「喝采」、「夜間飛行」、「矢切の渡し」などの大ヒットがあるちあきなおみですが、個人的にはカバー曲の「黄昏のビギン」が大好きです。ちあきなおみの独特のハスキーボイスと高音の美しさ、そして節回しがこの名曲をさらに盛り上げてくれます。もともとこの歌は水原弘が歌ってヒットした歌で、永六輔と中村八大の六八コンビが作ったものですね。水原弘の歌も非常によかったのですが、ちあきなおみが歌うと別世界に連れて行ってくれます。ちあきなおみのカバー曲では「星影の小径」も好きですね。小畑実が歌った大昔の歌ですが、ちあきなおみ独自の解釈による素晴らしい歌になっています。

 

ちあきなおみは夫の郷瑛治(宍戸錠実弟)の死去とともに芸能界を引退し、二度と人前で歌うことはなくなりました。非常に残念でしたが、いまはYouTubeがあるためいつでもちあきなおみの歌を聴くことができますね。

 


黄昏のビギンーちあきなおみ

西田佐知子でいちばん好きな「エリカの花散るとき」

日本の女性ボーカリストでいちばん好きなのは西田佐知子です。美人でしかも歌がうまい女性歌手は多いですが、西田佐知子ほどの歌唱力があるボーカリストはそうはいません。「アカシアの雨のやむとき」でヒットしてからは、「コーヒールンバ」、「エリカの花散るとき」、「東京ブルース」、「赤坂の夜は更けゆく」、「女の意地」など、つぎつぎとヒットを飛ばしました。独特のハスキーで滑らかな声と、素晴らしい節回しが「サッチン」の特徴でした。私はこれらのヒット曲の中でも、とくに「エリカの花散るとき」が好きです。「青い海を見つめて、伊豆の山影にエリカの花は咲くという」という歌い出しだけで心を奪われてしまうのです。西田佐知子は関口宏と結婚してからは子育てもあり、だんだん表舞台には出なくなり、やがて引退してしまいました。非常に残念で、いまではCDやYouTubeを聴く以外、ほかに方法はなくなってしまいました。

 


エリカの花散るとき ♪~ 西田 佐知子 1963 )